について




                  

畳のこと

畳は一番上に縫い付けてある私たちが直に触れる部分が

畳表(たたみおもて)といい、その両端についてるのが畳縁(たたみべり)です。

芯になる部分を畳床(たたみとこ)といいます。

畳表のこと

畳表はい草という湿地帯に自生するイグサ科の多年生植物で現在は熊本、福岡、高知、岡山などで栽培されています。

真冬に植付け、刈り取りは真夏。そして染土という特殊な粘土質の泥につけて染めて乾燥させたものが畳表の原料になります。この泥染めが畳独特の色と香りを生み出します。

1枚の畳表を折るのに約4000本のい草が使われますが、その質と長さと色調が品質を決める重要な要素となります。

良いい草は茎に変色や枯れがなく、根元から先端まで充実してること、そして太さや色が揃っていて、長いい草が良いとされています。

このようない草を使用し経糸に麻を使用し織が揃っていて谷が狭く肉の厚いものが品質の良い畳表とされています。

畳の良さを決める最大の要素が畳表です。これは産地によって呼び名がつけられており、幕藩体制によって確立された藩名に「表」をつけたもので、広島産は備後表、岡山産は備前表、備中表。同様に熊本産肥後表、八代表、福岡産豊前表、筑前表、筑後表、高知産土佐表、大分産豊後表といったぐあいです。当店では主に熊本産八代表を使っております。

畳縁のこと

畳縁は畳縁によって座る人の身分や地位を規制するためのものだったようです。

そのような規制は崩れて守られなくなるが、現在でも客間、居間、納戸などと部屋の格式に応じて畳縁の種類を決めたりすることもありますが、ほとんどの場合が個人の好みや壁やインテリアとのバランスやその部屋の利用法方などで決めることが多いようです。

畳縁は絹、麻、木綿、マニラ麻、合成皮革、化学繊維などを材料として織られ、あるいは交織となって各種の色の無地物や柄物が作られてます。

その中でも木綿と化学繊維を使用したものがよく使われています。

無地縁とは色縁のことで、紺色、茶色(赤茶、栗茶)、鶯色、黒色などがありますが、最近は洋間にも合うようなカラフルな明るい色の無地縁も多く出回ってます。

柄縁とは七宝柄や立枠柄などの他に亀甲柄、菱柄、美術織物などの新柄が出回ってます。

茶室には無地の紺縁を用い、床の間の縁は紋縁にして、部屋の大きさによって大紋、中紋、小紋等を選びます。中でも小間の茶室の床の間には紺縁が用いられます。茶室の畳縁が黒く見えるのは濃紺のためなのです。

畳床のこと

畳床は大別してわら床化学床になります。

わら床はよく乾燥させたわらを層になるように縦横に積んで圧縮し縫い上げて作られてます。原料のわらの質、配列のしかた、均等に圧縮してあるかどうか、縫い目の間隔、裏の素材などが品質の良し悪しを決めます。たくさんのわらを使用し配列層も多く、縫い目間隔を細かくしたものが高級品となります。一般的に重くて硬いものが良いものされています。

化学床と比べたわら床の長所は、感触がいい、繰返し表替えが出来る、復元力がある、何より自然素材であることです。このような長所の一方にダニ問題がありますが、現在はこの対策のために高周波などによる誘電加熱処理を行ったり、防虫加工紙や防虫加工糸を使用することで対処してます。

化学床の主な素材はポリスチレン樹脂と発砲剤からなるポリスチレンフォームと、木材繊維を原料をするインシュレーションファイバーボードです。

ポリスチレンフォームをファイバーボードでサンドウィッチしたものが主流です。前者は断熱性に優れ、水を吸収しない、軽い、施工しやすいという長所があり、後者は吸放温性と断熱性に優れています。

わら床と比較した場合の長所は軽いので運搬や敷き込みがラクなこと、ダニの心配がない、コストが安いとこです。

しかし衝撃に弱く長年使用しているとへこんだり割れてしまったりすることがあります。そうなってしまうとわら床のように修復が出来ません。

畳のちから

い草は直径1.5センチくらいの草だが、拡大してみると皮の表面には細かい縦じまがあり、断面はスポンジ状になっていて、小さな穴が無数にあいています。

一方ワラは中がストローのようになっていて、畳床はそのワラを縦横に並べ40センチくらい積み上げたものを5センチ程に圧縮して縫いつけてあります。

つまりい草もワラも弾力があり、空気をたくさん含んでいるのです。よって畳は熱を伝えにくいため、夏は暑さを遮断しひんやり冷たく、冬は冷気をさえぎって暖かいのです。

いわば自然の断熱材なのです。しかもその働きを保ちつづける働きを持っているので、空気を含んでいるということは、吸音効果があり、振動を和らげることにもなるのです。

また畳一枚は約500ccの水分を吸収し、乾燥してくるとそれをまた放湿するという自然のエアコンとも言えるのです。このような長所が日本の風土に適しており、昔の人の生み出した生活の知恵なのでしょう。

これが大まかな畳の話…